
弁慶という人物は、史実による記録は僅かで、後の創作物よる印象が強いと思います。
個人的には、古事記に登場する須佐之男命が重なって見えます。
この本を読んで頂ければ、ただの暴れん坊ではなく、当時は争いごとの解決が戦であり、民衆までも巻き込んで多くの命が奪われる現実に、その意味を深く考え、何とかして解決したい、その一心で活動する姿は、まさに達人と言えるでしょう。
こうした弁慶を師と仰ぐ道正は、非常に人間的で共感する部分も多いはずです。
いつの時代も、支配者、権力者の思惑に翻弄されてしまうのが、武士や兵士、そして民衆達です。
国を司る人達に神々の力が流れること、これこそが救いにつながると弁慶は確信していたと思えます。
現代のように民主主義と言われるものでさえ、お金で動かせる世の中です。
資産家が覇権を握り、弱い国が飲み込まれてしまうのが現状です。
政治家も我利我利亡者ばかりでは、文明の衰退さえも感じます。
人が霊的な輝きを失ってしまえば、より動物的な生き方となってしまうでしょうし、霊的に進歩するなら動物でありながらも、霊的に高い部分の主張が強くなり、個人の集合体である社会も変化するのではないかと思えます。
日本固有の神道は、教義ではなく継承、伝承という側面を持っていると、このブログに書きましたが、霊的なことを主眼としたものでなければ、その意味や価値を失ってしまいます。
この本は価格的に高く感じられるでしょうが、300ページ以上あるので読み応えが十分あります。
実際の歴史書と比べて読むのも面白いでしょう。
霊魂学は難解ですので、こうした物語風であれば理解しやすいと思います。
霊魂学書籍のご紹介
人間の登場: 霊魂が示した新しい神話 水波一郎著
この本は人間の頭で書かれた本ではありません。霊魂が教えてくれた事を本にしたものです。
児童も大人も読める新しい神話を書こうという試みです。
人間の登場から始まり、人間が物質の世界で生きる苦悩、そして、死後の世界での苦しみ、更には、苦しみからの救いについて書かれています。
難しい事は他の本に譲るとして、易しく分かりやすく読める事を考えて書かれています。
人間はただの物ではなく、霊的な生命である事を知って欲しいと思っています。
既刊『二本足の霊魂』は人間にとって重要な書なので誰にでも理解できるようにもっと易しく、分かりやすくしてほしい、という声がありました。
本書は、そうした声に答える形で記述されました。